天野 入華

作家や作品の魅力をさらにご紹介する企画「Artist Interview」。
第35回は現在、個展「あわいの庭」を開催中の天野入華さんです。インスタレーション作品《reflection》のお話から、2025年に台湾で行われたアーティスト・イン・レジデンス(滞在制作)についてもお聞きすることができました。
ぜひご一読ください。

ー 4年ぶりの個展となりますが、今回《reflection》というインスタレーション作品をメインに展示いただいてますね。こちらについて伺っていけたらと思います。

天野さん(以下敬称略)「以前から小さな芽のインスタレーションはやっていましたがより進化させたいなという想いはずっと持っていました。そんな中で、昨年台湾・台南のXIUXI Anping ホテル(綉溪安平飯店)にて滞在制作のお話をいただいて、空間に合わせてボリュームのある作品を試作するうちにより大きなこのシルバーの葉っぱのアイデアが生まれました。一枚一枚手作りしていて少しづつ葉っぱの形や大きさが違っているので、それが面白い影や重なりになって作品自体の佇まいになっているのかなと思います。」

ー ジルダールギャラリー企画で2025年に行われた台湾・台南にあるXIUXI Anping ホテルでの滞在制作のお話について、約1ヶ月半ほど実際にホテルで滞在しながら作品を制作していただきました。振り返ってみていかがでしたか?

天野「海外での滞在制作は以前も経験があるんですが、今回のように長期間でしかもここまで大きな空間に大掛かりな展示を一人でさせていただくことは初経験でした。元々アーティスト・イン・レジデンス(滞在制作)にすごく憧れがあって自分でも調べたりしていたので、とても良い機会をいただいたと思っています。現地の方々もとても親切で、ホテルの方も色んなことを提案してくれてコミュニケーションをとりながら作品を制作していきました。」

ー 現地で滞在しながら制作する中で、作品や制作に対して影響を受けたことはありますか?

天野「凄くたくさんありますね。滞在中色んな場所を散策したんですが、春のシーズンに行ったこともあり日本では見かけないような様々な植物が芽吹いていたり、壁に蔦が絡まっている様子などがとても面白くて、現地で見たこういった景色などが作品作りにも影響していると思います。
また、色んな人と会って自分がどんなことを実現させたいかというのを片言ではありますが、とにかく伝えていくという行動力は培われたかなと思います。
インスタレーションというのは普段の作品と違い設置場所で直接作っていくため、何も無いところからのスタートなので、相手にどんなものができるのかイメージを少しでも共有できるようにコミュニケーションを図っていくことが実は大切で、難しくもあり面白くもある部分だなと思います。」

ー ホテルの方もとても喜んでくださって、滞在制作の後もそのまま常設で展示してくださっているのもまた嬉しいですよね。弊ギャラリーとしてもとても良い経験になりました。

ー 滞在中は現地の小学校にも赴き、生徒たちに対してワークショップも開催されましたね。

天野「そうですね。ホテルの目の前に小学校があって、そちらの生徒たちに向けてワークショップを何かできないかというお話をいただきました。展示テーマが「芽」なので、子どもたちにもカッティングシートにオリジナルの「芽」を描いてもらいそれを切って壁に貼っていくというワークショップを行いました。小学1〜6年生まで約300人弱に向けて1日でワークショップをやるというちょっと無謀とも思える企画だったんですが、蓋を開けたら関係者皆さんの協力もあって凄く充実した時間になりました。」

ー 子どもたちの反応はいかがでしたか?

天野「子どもたちは本当にみんなフレンドリーでノリが良くて、私が身振り手振り、時には片言の英語や中国語の単語で話したりしたんですが、こちらの緊張を吹き飛ばすくらいの元気さで逆に助けられました。どんなワークショップにしたらみんなに楽しんでもらえるかなと考える時間もとても楽しい経験でした。」

ー 子どもたちはあっという間に国境を越えますね。

XIUXI Anping ホテル(台湾)での滞在制作の様子はこちら

小学校でのワークショップの様子

ー 帰国後、国内でも《reflection》を何度か発表されていますが、回数を重ねるうちに何か変化はありますか?

天野「それぞれの場所ごとに特徴があるので現場に行って見て空間を主体にその中でどう見えるかということを考えていたんですが、続けていくうちに作品自体どうしたらその空間に美しく存在できるかという作品の“かたち”をより意識するようになりました。例えばホテルなどの空間は壁や床の色、窓からの景色などが影響するんですが、今回は特にギャラリーというすっきりした空間なので、そういった意味では作品自体のかたちや影の出方などをより際立たせることができたかなと思います。緊張感を持ちつつ作品そのものに意識を向けて、より向き合いながら制作することができました。」

ー インスタレーションから生まれた新作についてもお聞かせください。

天野「《reflection》を作っていく中で、葉っぱが広がっていく様子の出発点を考えた時に、種が芽吹いて上に伸びていくようなイメージが出てきて、インスタレーションから派生したシリーズはその始まりの様子をカプセルに閉じ込めたみたいな、苗の状態を切り取ったような作品になっています。」

ー 《reflection》をはじめ、芽吹いた作品たちがこれからどのように育っていくか楽しみですね。

天野「色んな場所でインスタレーションをやる度にまた新しい発見があるので、これからも続けていきたいなと思っています。」

天野さんの個展「あわいの庭」は4月19日[日]まで開催しています。
穏やで心地よい空間をぜひ体感しにいらしてください。

インタビュー:榮菜未子 / 写真:木村宗一郎

天野 入華  / Irika Amano

1984年、愛知県生まれ・在住。
日常の中でふと現れる一瞬の美しい色彩や情景を捉え、それらを作品として可視化する制作を行う。あらゆる物事に宿る「佇まい」や「存在感」を主題とし、金属やガラスを用いた平面・立体作品、インスタレーションを中心に展開。近年はミクストメディアによる表現も取り入れ、空間全体に働きかける作品制作を続けている。


天野 入華 個展
あわいの庭
2026年3月28日[土] – 2026年4月19日[日]

JILL D’ART GALLERY

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