山内 喬博 さん

作家や作品の魅力をさらにご紹介するべく、この度アーティストインタビューを掲載することになりました!
記念すべき第一回は現在テレビ塔内にあるギャラリー”on hold”にてジルダールギャラリー企画の個展を開催中の山内 喬博さんです。
普段の制作についてや個展「反射とわたし」についても、たくさん伺いました。

普段の制作について

インタビュアー榮:まずそもそも油絵という手法を選んだきっかけはありますか?

山内さん:高校から絵を始めたんですが、その時教えてもらった絵画塾の先生が油専攻だったのもあって自然に油絵を描き始めました。

榮:なるほど、ではもし先生が日本画専攻の先生だったらまた違ってたかもしれないですね!?

山内さん:んーでも僕、形を取ったりするのを考えながら結構しつこくいじるタイプなので、油絵が適していましたね。アクリルなどと違って油絵は固まるのが遅いので、変化を加えやすいんです。

榮:油絵は何度も加筆したりして変化させたりできるから確かに山内さんのスタイルにあってますね。合点がいきました。

一番大切にしていることは「勢い」

榮:では次に、制作する際に気をつけていることはありますか?また描いている時にどのようなことを考えながら作品が生み出されているのか気になります。

山内さん:僕が大事にしているのは「勢い」ですね。勢いがないと何かつまらない、止まっているような絵に感じます。なので勢いを出すためにノミで削ってあえて壊したりしていて、駒のモチーフもそうですが動きの軌跡を描くことで勢いを表現しています。
逆に絵が良い感じになってきたなと思って細部を変に意識し出して自分が萎縮していくと、段々絵自体も萎縮していって勢いがなくなっていくので、そういう時は僕の目から見ると絵が段々死んでいくような、生命力がなくなっていくように感じられますね。
そこを一番大事にしてるなと、今回インタビューを通して改めて気づきました。

榮:なるほど、それを聞くと作品の見え方もまた変わってきますね。

個展「反射とわたし」について

榮:続いて、今回の展覧会について伺っていきたいと思います。
テレビ塔の中に新しくできたホテルでの展示、話を受けた時や空間を見た時の第一印象など、お気持ちをお聞かせください。

山内さん:一番最初にお話をいただいたのは、昨年7月の二人展(山内 喬博 / 久野 彩子 二人展)直後だったんですが。半年以上あるとはいえ名古屋のシンボルであるテレビ塔でやるということに、正直に言うとかなりプレッシャーを感じていました。ちょっと敷居が高い気がして。
展示スペースを見た時も『ここでやるのかー』と、プレッシャーが増しました。やれるのかなぁという。ホテルに飾られているアーティストの方々も錚々たるメンバーですしね。

榮:そうだったんですね。ではいつ頃から気持ちが切り替わっていったんでしょう?

山内さん:11月ぐらいからモチベーションをぐっと上げていきました。それまでも描いてはいましたが、その頃から深夜まで制作したりするようになりましたね。今年に入ってからは深夜4時とかまで連日制作してました。

榮:わーまるで修行のようですね・・・!(笑)では今は搬入が終わってホッと一息ですね。

山内さん:いや、実はまだ制作終わってないんですけどね(笑)まだ描いてます。だいぶ落ち着きましたが。今年に入ってからジルダールさん企画の「みんな展vo.2」「ART NAGOYA 2021」と、今回の個展と重なっていたので、ちょっと大変でしたね。

榮:それのスケジュールは山内さんしかできませんね(笑)それだけオーナー田口の期待の表れでもあるということで・・・いつもありがとうございます!

山内さん:いやいや、ありがとうございます(笑)嬉しいです。

油絵にない表現を追い求めて

榮:タイトル「反射とわたし」について、コンセプトがあれば教えてください。

山内さん:コンセプトというほど重たいものはないのですが、僕はずっと「反射」を追い求めていて、今までは油のコーティングでしか反射を表現できていなかったんです。以前出したものも、絵具のラメで表現したり油絵具のオイルで光沢反射させていたんですが、油絵具の金や銀で反射させたかったんです。
そんな思いから顔料と色んなものを混ぜて試行錯誤しながら今ここに行き着いてます。なので厳密にいうともはや油絵ではないかもしれません。

榮:山内さん独自の表現にたどり着いている感じがしますね。

山内さん:タイトルの「わたし」というのも、描いてる時自分の姿が反射して絵に写るので、「写ってる自分」と「描いてる自分」を主観的にも客観的にも捉えられるなと思って、素直にこのタイトルが出てきました。もっと英語とか、かっこいいタイトルにしようかとも思ったんですけど、シンプルな方が良いなと思って。

榮:とても分かりやすくて良いタイトルだと思います。もう理想の反射には出会えたんですか?

山内さん:いや、まだですね。鏡面くらい反射するまでの表現に行き着いてはいるんですが、今回の展示には間に合わなかったのと、そこまでやりすぎて本当にいいものか、面白いのかどうか、まぁやってみてどうなるかですね。

榮:やってみて考える感じですね。興味深いです。

榮:ところで今回発表された作品もそうですが、山内さんの作品は近年どんどん明るく煌びやかになっている印象を受けるのですが、時代や環境などにより心境に何か変化はありましたか?

山内さん:自分が子供の頃ってスマホもなかったし、今みたいに人工的な光って少なかったんですよね。そういうものが段々見慣れてきたのもあって、いざ油絵具を見てみると普通の発色が物足りなくなってきてしまって。それで反射だったり蛍光色だったり、本来油絵にないものを求めるようになっていきました。例えば僕が風景画とかを描いていたらこうはならなかったのかも知れないですが、抽象作品なので、色を選ぶのは大変ですね。

榮:初めからこういう表現だったわけではなく、山内さんが今まで見たり聞いたり感じたりしてインプットしてきたものが、作品となってアウトプットされているわけですね。ということは、これからも変わる可能性ありますね。

山内さん:そうですね、ありますね。

榮:本作での作品の中で、お気に入り / 思い入れの強い / 時間をかけたものはどちらでしょうか?

山内さん:お気に入りは「tower」ですね。これは結構大変でした。金色に対して綺麗にしようと意識しすぎて、委縮してしまったので。それを乗り越えるのが大変でしたね。『もういいや、ダメになっても。壊れてしまってもいいじゃないか。』という気持ちで思い切った時に、萎縮が溶けて良い作品になっていって。これがきっかけで他の作品にも良い流れができました。

榮:先ほどの「勢い」のお話に通じてますね!

山内さん:そうですね!あと思い入れがあるといえば「Orange line」です。あれは一番最後に描いた作品なんですが、完成した時にいろんな感情が込み上げてきて思わず涙が出ました。あの感覚は初めてでしたね。

DMにも使われた作品「tower」
エントランスでお客様をお出迎えしてくれている作品「Orange line」

榮:では最後に、ご来場されるお客様に一言お願いします。どう見てもらいたいかなどもあれば!

山内さん:絵を見るってその世界に入り込むような絵画性(ストーリー性)と、物質や素材そのものを見る平面性があると思っていて。
僕の作品はどちらかというと平面性の方が強いと思うので、作品の中に入り込んだり意味を考えるというよりも、「これどういう風に作っているんだろう?」「どうやって壊していったんだろう?」と制作過程を想像しながら、テクスチャーやレイヤーを見て楽しんでいただけると良いかなと思います。

榮:本日はありがとうございました!

記事:榮菜未子 / 写真:木村宗一郎

山内 喬博 / Yamauchi Takahiro

油絵具という一つの素材で様々なテクスチャや質感の違いを作り、組み合わせる。そのことにより記号的な形にも拘らず絵画に物語性を与えることができると信じている。
鑑賞者には絵画の中に入り込んで味わうこと、絵画を飾ることによって空間(部屋)に変化が生じること、どちらの感覚も味わってもらいたい。

アーティストページはこちら


山内 喬博 個展
反射とわたし
2021年3月4日[木] – 2021年3月28日[日]

THE TOWER HOTEL NAGOYA

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