女性作家 × アート

作家や作品の魅力をさらにご紹介する企画「Artist Interview」。
第7回は現在開催中の企画展「Dance, Dance, Dance and Dance」にご参加くださっている菊地 絢女さん、久世 なつかさん、一色 智登世さん、MIWAさんの4名の女性アーティストに懇談会形式でインタビューさせていただきました。それぞれの考え方や制作の仕方など様々な意見交換ができて終始笑顔の楽しい時間となりました!是非ご一読ください。
※メイン写真左からMIWAさん、菊地 絢女さん、久世 なつかさん、一色 智登世さん

ー 皆さまインタビューにご協力いただきありがとうございます。懇談会みたいな感じでワイワイできたらと思ってます。まずは簡単な自己紹介とご自身の作品のコンセプト、テーマなどお聞かせください。

菊地「菊地絢女と申します。グラフィックデザイナーをやっていて2008年に造形作家として独立しました。そこから自分の表現が一番しやすい紙を使って作品を作り続けています。普段は雑誌や広告、ディスプレイなどで発表しています。」

久世「久世なつかです。一度広告会社に勤務した後、癒しを求めて20代後半ごろから日本画を始めました。ある時オーダーで掛け軸のご依頼を受けたんですが、その時抽象画の方が合うなと思いサンプルを描いたことがきっかけで、今のようなスタイルになっています。抽象画を描き始めてまだ2年目くらいです。自分の想像を超えたもの、驚いたものなどをイメージして作品を制作しています。」

一色「一色です。私はずっと焼き物をメディアとして活動しています。インスタレーション、空間を作ることが多いです。SEED-種、はじまりのかたちというシリーズを作り続けてもう10年くらいですが、きっかけは2011年の東日本大震災です。世の中が大変なことになって、その中で何のために表現するんだろうと考えたときに、何かポジティブなものを表現してそれを蒔いていきたいと考えてSEEDというテーマに行き着きました。基本ポジティブな思いでしかものを作っていないですね。」

MIWA「MIWAです。ポジティブなものは私も同じかもです。私はあまりテーマと言うものを決めていないんですが、描くと自分自身が落ち着くので、そのために描いているようなところがありますね。20年前くらいから展示活動をしています。花とか鳥とか、生き物や日々の日常を描いてます。」

ー ありがとうございます。では次に作品の素材や題材など、こだわりのポイントはありますか?

菊地「私は紙がとにかく好きで、人と話していてもペーパーナプキンとか触っちゃってますし、本を読むときの匂いも好きです。なんというか自然のものからできてる柔らかさとか光に透かした時の影とか質感とか、切った時にできるエッジとかまで好きで。結構オタクっぽいんですけど(笑)絵筆で紙に描く時って気持ちがいいと思うんですけど、私の場合はそれがカッターで紙を切る時なんですね。」

ー たしかに、陰影や立体感など平面では表現しきれない部分が存在感を放ってますね。

MIWA「紙で指切ったりしませんか?」

菊地「自然と切らないんですよね。料理とかでは切ったりするんですけど(笑)」

一色「きっと紙は大事に扱われているからですよね。雑に扱ったりすると切ったりしますよね。段ボールとかで切ると地味に痛い。」

一同「あーわかるわかる。」

ー 久世さんは数年前から抽象画を描き始めたとおっしゃってましたが、このイメージは突如降りてきた感じですか?

久世「そうですね、突如として生まれました。家にあった刷毛をなんとなく描いたことがきっかけなんです。大切にしているのは色ですね。絵具の色が混ざって意図しない軌跡が生まれて、自分が見たことのない世界が生まれた瞬間、大袈裟かもしれないですが、ただの色が芸術に昇華してく瞬間に立ち会っているようなそんな感動があって。
私描くときに外の音を完全にシャットアウトするんです。耳栓をして誰も入ってこないようにして、夏だと全裸でやることもあって(笑)絵具と一体になって、ある種トランス状態のような空間で描いてます。」

ー へー!皆さんの制作環境も気になっていたので、興味深いです!

一色「そこを見てみたい!」

久世「見られたら結構やばいですね(笑)」

久世さんの作品。色の帯が織りなす独特の世界観が光る。

ー 一色さんはどうですか?

一色「私は全く逆ですね!コネコネしながら日常的に作ってますもん。電話しながらの落書きとか、そんな程度のラフで作り始めます。私の場合は、よしやるぞ!と気負い過ぎてしまうと、良いもの生まれないんですよね。」

ー なんか皆さんそれぞれ違って面白いですね。MIWAさんはどうですか?

MIWA「一色さんが全部言ってくれましたね(笑)私も同じで日常を描いている感じです。いいじゃんいいじゃん〜って言いながら描いてます。絵の中には全部生活が入ってますね。見たものだったり、飼ってるハムスターだったりおじいちゃんおばあちゃんだったり。全部入ってます。この作品なんて、鳥って思わせておいて実はハムスターです。ハムスターのベニコちゃん。」

一同「えー!?ハムスターなんですか(笑)」

菊地「この花の絵はなんか、会話しているみたいに見えますね。」

MIWA「あ、それいいですね。使わせてもらいます(笑)」

鳥と思いきやペットのハムスターがモチーフ。
日々の生活を暖かく取り入れるMIWAさんの作品。

ー 今回のテーマに関しての想いだったり、特にお気に入りの作品があれば教えてください。

菊地「今回の『Dance, Dance, Dance and Dance』というタイトルを聞いたときに、神話が思い浮かんだんですよ。ダンスって文字のないような昔から体で表現して伝えられてきたと思うんですけど、それが口伝えで語り継がれてきた太古の神話と私の中で重なったんです。
この作品は『ナルキッソス』というギリシャ神話を元にしていて、ナルシストの男性が泉でずっと自分の顔を眺めていて、それが水仙になってしまったっていう神話で「自己愛」をテーマとしているんですが、外見というよりは内面を見つめて、それが花として咲いていくという、それがとても素敵だなと思って今回表現してみました。」

「ナルキッソス」をイメージした菊地さんの作品。

一色「私も菊地さんと同じで、タイトルを聞いたとき土着的な印象を受けました。Danceだけだったら思わなかったかも知れないんですけど、〜and Danceと続いていて、生まれる前のずっと昔から脈々と受け継がれている血のようなものを思い浮かべました。ダンスの動きを直接取り入れたわけではないですが、芽が踊っているようなものを作ってみて、これ鳴ったら面白いやん!と思って鈴を入れてみました。土鈴って祭りだったり何かの合図だったり、お守りとかで太古の昔から使われていて、なんか私が土を触り始めたところに通じているなと思って。脈々と受け継がれていると感じますね。粘土触って気持ち悪いと思う人っていないと思うんですよ。」

一同、頷く。

MIWA「凄くわかります。縄文時代から来てますよね!私も最近描いた作品には下地に土を入れてたりしてて、土落ち着くーって思ってたんでなんか繋がるところありますね。お気に入りはどれも好きですが、ベニコ(鳥の作品)とか、土混ぜてるシリーズですかね。」

久世「私もダンスと聞いて、心躍るような配色は意識しました。普段はもう少し落ち着いてるんですが。個人的に気に入ってるのはこれですね(color#28というブルーの作品)。これ出来た時、この作品はもう描けないなと思いました。あとは今回の展示のために一色さんの作品の画像を置いたりして意識したりはしました。紫とか黄色とか。」

一色「そうだったんですね、ありがとうございます!」

ー それぞれ違うテーマや素材で制作しているのに、どこか共通点や、意識しあっているような雰囲気があって不思議ですね。

一色さんの明るさがそのまま現れている作品たち。

ー では最後に、他の作家さんに聞いてみたいことがあれば教えてください。

久世「私の周りにあまり制作している人がいなくって、どうやってモチベーションを維持しているか聞いてもいいですか?女性っていろんな環境で続けられなかったりすることもあるじゃないですか。維持する原動力って何ですか?」

一色「大学出る時に先生が、作家でやってくって言って飢え死にしたやつなんておらへんって言ってて、その言葉で気負わず制作できるようになりました。
それでも搬入した後とか『あー終わったー疲れたー』ってなるんですけど、その瞬間次はこうしたいあんな風にしたいって次のこと考えてる自分がいて。そういう時に、あぁ自分は一生続けていくんやろなーって思うんですよね。」

菊地「アイデア出そうと思って出してるわけではなくて、電車乗ってる時とか、ふとした瞬間にアッ!て降りてきたりしますね。とはいえ泣きながら作るような時もあって、思うようにいかなくて悔しくて疲れて、もう辞めたいって思うことがあったんですけどそれが終わった途端、次のアイデアが浮かんできて、それがやりたいっていう気持ちなのかなって。」

ー 達成感なんですかね。できたときの嬉しさだったり、もうちょっとやれるなっていう

久世「出来た時の嬉しさは次の原動力になるのかも知れませんね。」

MIWA「登山に似てるかなぁ。」

一色「大学の時の友達が、また制作再開したって聞いたりとかして、やっぱりみんな作りたかったんやんって思ったりして(笑)でもこうしてずっと続けてこられた環境があるってこともありがたいですよね。」

一同、頷く。「確かに環境って大切ですよね。」

一色「そして話してて思ったんですが、ここにいる皆さんは生きてることと作ることがイコールなのかなって感じました。」

一同、同感。

まだまだお話は尽きませんが、良いワードが出たところで一旦インタビューはここで終わりますね。
今後の皆さまのご活躍、ますます楽しみにしています!

素敵な4名による企画展「Dance, Dance, Dance and Dance」は9月12日(日)まで(月曜定休)開催しています。心躍る空間をぜひ、体感しにいらしてください。

記事:榮菜未子 / 写真:木村宗一郎

写真左からMIWAさん、菊地 絢女さん、久世 なつかさん、一色 智登世さん

Dance, Dance, Dance and Dance
菊地 絢女 / 久世 なつか / 一色 智登世 / MIWA
2021年8月28日[土] – 2021年9月12日[日]

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