山田雅哉×インテリア
作家や作品の魅力をさらにご紹介する企画「Artist Interview」。
第12回は、名古屋市中区にありますインテリアショップ、REAL Style 本店 にて個展「talk」を開催中の山田雅哉さんに2度目のインタビューさせていただきました。前回は作品について伺いしましたが、今回は「インテリアとアート」「アートのある暮らしとは」という観点でもお話を伺うことができました。ぜひご一読ください!
(大好評だった前回のインタビューはこちら)
ー 2度目のインタビューをお引き受け頂きありがとうございます。まずタイトル「talk」について、込められた想いがあればお聞かせください。
山田さん(以下敬称略):2021年の年末に展示のお話を頂いて、会場も拝見して。それからタイトルを考えたんですが、2月中頃の展示ということでちょっと春めいてくる頃かなと思って。
実はあまりタイトルをつけるのが得意じゃないので、色々本を読んだり友人に相談したりしたんですが、ある音楽家の友人に相談した際に友人の曲に「雪解けの妖精(The Bringer of Spring)」というかっこいいタイトルがあって。初めはそれにしようかなと思ったんですが、一つの作品のタイトルみたいで展示会のタイトルっぽくないねという話になって、結局決まらなくて(笑)
でもそういう風に友人と色々会話することで見えてくるものがあったので、お客様が作品と会話していただけるような、そんな展示にできたらなと思いました。ちょうど谷川俊太郎さんの「はる」の詩も読んでいて、「talk」という言葉がしっくりきたのでこれに決めました。
ー 作品とも相まって、春を予感させる素敵な展示だと思いました。
ー 窓ガラスにかけられている大きな作品についてお聞かせください。布に描くのは山田さんにとって初めての試みでしょうか?
山田:初めてです。打ち合わせの際にジルダールギャラリーの田口さんから布に描く大型の作品をご提案いただいてチャレンジしました。窓ガラスからの光が作品を通して優しく差し込んでくるというのを想像して描きました。
ー 会場に飾るまでご自身でもどうなるか分からなかったと思うのですが、実際飾ってみていかがですか?
山田:自分でいうのもなんですが(笑)予想していた以上にうまくいってくれたなと思います。
ー 作品に後光が差してるようでとっても素敵です!きっと天気によっても違ってきますよね。
山田:そうですね。時間帯によっても見え方が変わってくれると思います。
風に揺れる感じとか、パネルに貼ってある絵とはまた違った表現ができたなと思います。透け感が欲しかったので柔らかい布を選んだり、色々勉強できて良い経験になりました。
ー インテリアショップという普段とは違った雰囲気での展示だと思うんですが、何か意識した点はありますか?
山田:生活空間で飾ってもらえるように、ということは意識の中にありました。
ギャラリーのようなホワイトキューブでの作品鑑賞ももちろん良いですが、家具と共に生活の中にあることでより色んなことに気付けるというか。
特に自分の場合は抽象表現なので、その時々によって見え方が違ったり、「明日も頑張ろう」って思えたり、生活の中で色んな風に感じてもらえたら良いなと思います。
ー 山田さんのご自宅にもご自身の作品だったり他の作家さんの作品が飾ってあると伺ったんですが、生活の中にアートがあるというのはどういったことだと思いますか?
山田:ちょっと話がズレちゃうかも知れないんですが、学生時代に友達との雑談中「良い作品・芸術って何だろう?」という話題になったことがあって。「最強の展覧会、最強の作品」ってなんだろうって。
結局、その絵や展覧会を見て家に帰った時に「よし自分もやってみよう!」とパワーを貰えるようなものが良いんじゃないかという結論に至ったんです。
様々な方向性や考え方があるのでもちろん一概には言えないですが、自分たちの中ではそれが最強なんじゃないかなと思って。
先程の話とも重なりますが、良いアートもインテリアも同じだなと思っていて。家に帰った時に「明日も頑張ろう」って思えたりだとか「ホッとする」とか、自分にとって何かプラスになるような、生活の中で “心の栄養” になるようなものが良いなと思っています。
自分の作品も、画面上に起こったことがプラスになるように積み重ねていって、その重なりによってできる作品だから、そういう気持ちが根底に流れているのかなと思いますね。
ー 山田さんがアートを選ぶ基準も、そうやって選ばれてるんですね。
山田:そうですね。だから逆にいうと自分の最新作はリビングには置けないですね。心が休まらないというか(笑)もう少し手が入れれるかなとか、色々見えちゃうので。
ー なるほど(笑)
山田:昔の作品だと、あの頃こういう風に頑張ってたなーとかって客観的に見れるので良いんですけどね。それはプラスになることだと思いますから。
ー ありがとうございました。
“心の栄養”というのがとっても心に残りました。アートやインテリアを選ぶ時の参考にさせていただきます!
山田さんの個展「talk」は3月13日(日)まで(水曜定休)REAL Style 本店にて開催しています。ぜひ、山田さんの作品たちと語らいにいらしてください。
記事:榮菜未子 / 写真:木村宗一郎
山田 雅哉 / Masaya Yamada
画家、博士(美術)
2015年、愛知県立芸術大学 日本画領域としては初となる博士学位を取得
論文「音楽の視覚化にみる日本画表現の可能性」に於いて、二つの新技法の開発等 現代における日本画の可能性を拡げ、現在も研究を進めている。
1981 愛知県生まれ
2006 愛知県立芸術大学 美術学部日本画専攻 卒業
2008 愛知県立芸術大学大学院 美術研究科 日本画専攻 修了
2015 愛知県立芸術大学大学院 美術研究科 博士後期課程 修了
博士(美術)学位取得
論文「音楽の視覚化にみる日本画表現の可能性」を出版